こんにちは。
ひなたです。
広島県の尾道を舞台にした小説を読んだので、その感想を。
タイトルは「尾道茶寮 夜咄堂(おのみちさりょう よばなしどう) おすすめは、お抹茶セット五百円(つくも神付き)」。
不慮の事故でたった一人の肉親の父親を失った、大学一年生の千尋。彼に残されたものは、尾道の坂の上に建つ、古民家カフェ『夜咄堂』だけだった――すべてを処分しようと、夜咄堂を訪れた千尋を迎えたのは、自分たちを「茶道具のつくも神」だと言う見慣れない二人。戸惑いながらも千尋は、つくも神たちから茶道の指導を受けつつ、父の思いが残された夜咄堂を続けることにする。が、彼には茶道に対する複雑な思いがあって……。広島・尾道を舞台に、つくも神と茶道、切なさと温かさが交差する再生の物語。第4回「ネット小説大賞」受賞作!
上記Amazonより抜粋
尾道にある古民家カフェを舞台にした、ほっこりとする心温まるお話です。
広島在住の作家さん
作者の加藤泰幸さんは、広島在住の作家さん。
ぼくも今は広島在住なので同じ土地に住む作家さんの本はついつい気になってしまいます。
地元の本屋で地元在住の作家さんの作品ということで平積みされていました。
尾道の情景が目に浮かぶ
舞台は広島県の尾道市。
山の上のお寺、千光寺に近い場所という設定です。
瀬戸内海を見下ろすことのできる山あいの景色がよく出てきます。
「広島駅」や「尾道の花火大会」など、やっぱり地元民としてはそんな単語が出てくるだけでちょっとニヤリとして親近感が湧いてしまう。
広島や尾道に来たことのない方も画像を見たりしながらこの作品で瀬戸内海を見下ろす尾道の情景を予習してみてくださいね。
茶道にわかりやすく触れられる
主人公は大学生で父親が亡くなったために突然、そして不本意ながら父の経営していた古民家カフェの「夜咄堂(よばなしどう)」を継ぐことになります。
そしてもともとは茶道に対していい感情を持っていません。
そこからいろんな変化があって夜咄堂や茶道を受け入れていくことになります。
なので、主人公も茶道のことは全く知らない初心者。
そこからカフェのお客さんをもてなしたり、稽古を通して茶道を学び、身につけていきます。
茶道がテーマの作品ではあるんですが、全くの茶道を知らない人も主人公と同じ目線で茶道の知識や意味を知りながら読むことができます。
「茶道を知ってみたいけどハードル高そう」とか、「茶道を知らないけど美術館の茶道具展をこれから見に行く」って人には楽しみつつ茶道のことを知ることができますよ。
ちなみに作者の加藤さんも、深夜に見たアニメ?の「へうげもの」が茶道を始めるキッカケの一つになったそう。
ちなみに「へうげもの」は戦国時代を舞台にした、茶道の名器に心を奪われた武将の物語。
独特の視点で戦国が描かれていて面白いですよ
主人公の成長と家族との関わり
主人公と、茶道具の化身のつくも神(物に宿る精霊みたいなもの)との交流を通して、少しづついろんなことを受け入れて成長してお話。
いろんな茶道具や茶道の解説もありつつ、メインは彼らの交流を通した主人公の成長と再生。
それぞれのつくも神も魅力的で読んでいくうちにどんどん愛着がわいてきます。
血がつながっているわけではないけど、家族のような彼らの関わりに心が温かくなること間違いないです。
まとめ
読み応えはかなりライトで最初はもの足りない感じもしながら読み進めていたんですが、だんだんと主人公や、つくも神たちに愛着がわいて、茶道に関する知識も知りたくなって一気に読み切っちゃいました。
普段小説を読まない人にも読みやすくて、切なさもあったり心が温まったり。
美味しいお茶とお菓子をいただいたような気持ちになるいい作品でした。
ぜひ一読してみてください。
では、また!
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