【読書】平野啓一郎「マチネの終わりに」。読後感爽やかな大人の恋愛小説。

 

こんにちは、ひなたです。
 
今日は小説のご紹介を。
 
平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」という小説を読みました。
 
読んだキッカケはKindle Unlimitedに加入したので、対応している小説を探している時にたまたま見つけたこと。
平野さんのことを全く知らずに読み始めたんですが、読んだ感想としては「ものすごく良かった」です。
 
 
 
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天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。芥川賞作家が描く、恋の仕方を忘れた大人たちに贈る恋愛小説。

天才音楽家と敏腕記者の恋 

 
この作品の主人公二人は40歳前後の男女で、それぞれ芸術家とジャーナリストとして成果を出している二人。
コンサートの打ち上げで出会った二人はお互いに惹かれあっていく、そんなところから物語は始まります。
 
天才ギタリストと、美貌の優秀なジャーナリストという二人という主人公の設定に、主人公がギタリストということで作中にたくさん登場するクラシック曲。
普段の自分が関わることのない世界なので、イメージしにくい設定に読み始めてしばらくはなかなか物語の世界に入っていけませんでした。
 
ですがある時点に大きなターニングポイントがあって、物語が急展開してからは、物語の流れ、それぞれの登場人物の心情描写にもうぐんぐん引き込まれていきました。
ターニングポイントが中盤あたりにあるんですが、もうそこからは一気読み!
 
仕事がうまくいかないことへの葛藤、パートナーとの関係への迷いや関係の変化、大切な人との別れ、降りかかる悪意、家族との過去と向き合うこと。
いろんな出来事でがありつつも、ときに速度を落としつつ、ときに立ち止まりながら進んでいく二人。
 
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

ストーリーが進むごとにどんどん共感していく

 
ヒロインに婚約者がいるというところからスタートするので、読む前の想像ではドロドロというか破滅に向かっていくようなストーリーを想像していましたが読んでみるとそんなことはなかったです。
仕事や家族、パートナーとの関係も月日が経つことで変わっていくけど、その中で一つ一つ向き合って進んでいく二人の生き方の爽やかさ。
そしてタイトルの「マチネの終わり」の先から続いていく場面。
深く心情が描かれているけど、すごくあっさりと読めちゃいます。
 
著者の平野さんの描く登場人物の心情表現が物語がすすむごとにスッと入ってきます。
メインの各登場人物それぞれの中に、共感できるところがあって自分も同じ状況ならそうだな〜って、いろんな人物にどこかしら共感しながら読んでいました。
いい面も悪い面も。
悪い部分を行動に移すシーンもあるので実際そんなことをするのかっていうのは別にして、嫉妬したり、自分を抑えられなくて誰かに当たってしまったり、関係が変わって出会った時とは全く違う感情を相手に抱いたり、どこかしら自分と重なる部分があって。
 
美しくないから、快活でないから、自分は愛されないのだという孤独を、仕事や趣味といった取柄は、そんなことはないと簡単に慰めてしまう。そうして人は、ただ、あの人に愛されるために美しくありたい、快活でありたいと切々と夢見ることを忘れてしまう。しかし、あの人に値する存在でありたいと願わないとするなら、恋とは一体、何だろうか?
 
読み終わった後の読後感も爽やかな作品。
もう一度、ストーリーの初めを読み返して二人の出会いのシーンをもう一度振り返りたいなって読み終わった今思ってます。

まとめ

 
今回は、平野啓一郎さんの小説「マチネの終わりに」を紹介しました。
恋愛小説を読むこと自体もかなり久しぶりで40代前後の二人を中心に描いた恋愛小説って初めてでした。
主人公たちが人生経験を積んでる分、またその魅力も深く感じます。
 
 
ぼくはKindle Unlimitedの読み放題で読みましたが、通常のKindle価格だと1500円ほどするので、この作品を読むだけでもKindle Unlimitedの月額料金980円分はモトが取れたと感じています。
アマゾンのレビューの評価もかなり高いのですが、読んでみて納得!でした。
 
Kindle Unlimitedを利用してるなら迷わず、ダウンロードをオススメできる作品ですよ
 
平野啓一郎さんの他の作品もいろいろ読んでみようと思います。
 
ではまた!