辻村深月「かがみの孤城」感想。全世代におすすめできるファンタジー【2018年本屋大賞受賞作】

辻村深月さんの「かがみの孤城」を読みました。

読んだ感想としては「めちゃくちゃ面白い!」の一言。

初めて読む辻村深月さんの作品でしたが、「この人の作品をもっと読んでみたい!」と思わされました。

そして久々に買った単行本の小説でしたが自分の中では大満足の一冊でした。

では読んだ感想などレビューしていきます。

辻村深月さんとは?

鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞した直木賞作家。

本作「かがみの孤城」で2018年の本屋大賞を受賞しています。

それ以前にも2014年、15年、16年に本屋大賞候補にノミネートしています。

2019年公開のドラえもん映画「ドラえもん のび太の月面探査記」では脚本を担当しており、今旬の人気作家です。

ちなみに「のび太の月面探査記」は小説としても発売されていますよ。

「かがみの孤城」は2018年の本屋大賞受賞作品

本屋大賞とは毎年書店員が今一番売りたい本を投票で決める賞です。

2018年に書店員という本好きの人たちから1番人にオススメしたい作品に選ばれた作品と言ってもいいでしょう。発行部数も50万部を突破しています。

ぼくも本屋大賞を受賞した作品ということで、「かがみの孤城」で初めて辻村深月さんの作品を読みました。

「かがみの孤城」のあらすじ

あらすじです。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

中学生の「こころ」という女の子が主人公のファンタジー作品です。

中学生が鏡の中のファンタジー世界に行くというストーリーですがリアルに描かれた人間関係がメインなので、どの年代の人が読んでも違和感なく物語に入り込める印象です。

主人公「こころ」は不登校で学校に行けないという設定なので、学校での出来事の描写はやや重め。ただ子供の頃の学校しかないという世界観や両親とのやりとり、友達との関係の変化などは実際の自分の体験を思い出しながら共感できて、社会人の自分も感情移入できました。

「かがみの孤城」の見どころ

ぼくが感じた「かがみの孤城」の見どころは次の3つ。

  • 不登校になった「こころ」と周囲の人間関係の深い心理描写
  • 違う世界の人と関わることで感じられる希望
  • ファンタジー世界の謎が解けた時の爽快感と感動

不登校になった、主人公の「こころ」が不登校になった経緯と、それに伴う人間関係の変化が詳細に描かれています。

学校生活はうまくいかず行き詰まってしまいますが、味方になってくれる人もいる。そんな人たちが「こころ」に言うちょっとした一言に感動させられます。人の暖かさに触れられるお話です。

また鏡の世界のお城で出会う似た境遇だけど別の場所から来た同年代の子供たち。彼らとの交流で学校という場所以外にも自分の居場所を見つけられるという希望を感じさせられます。

そして鏡の中の世界にまつわる謎。ストーリーが進むにつれ明らかになっていきますが、ミステリーのように伏線の回収も楽しめます。ストーリーの中で感じるほんのちょっとした違和感も、「そういうことか!」と最後に全て納得できました。

まとめ:全世代に読んで欲しい名作

中学生の女の子が主人公のファンタジー作品ということで、「男性社会人の自分が感情移入できないかもな」と思いつつ読み進めましたが、良い方向に裏切られました。

ファンタジーだけど両親や友達、先生との関わりから感じる心理描写はリアルで、多くの人が感じたことのある感情がリアルに描写されていて、過去や今の自分に重ね合わせながら読める場面も多かったです。

また学校へは不登校でうまくいってない主人公の味方となってくれる数少ない大人たちのちょっとした一言に感動させられる部分もあり、「言葉の持つ大きな力」を感じさせられました。

主人公と同年代の10代の人はもちろん、幅広い年代の人に読んで欲しい、自分の中での名作でした。

今「オススメの本は?」と聞かれたら、自分の中で真っ先にあげたいタイトルになりました。